• 経済のこと

ここはどこ?

ここはどこだよ、と言うくらい、弊社工場のある北総公団線秋山駅の駅前には、以前では考えられないほどマンション建設ラッシュとなっている。
奥に見えるマンションの黄色い広告は、「内覧開始」の案内。
しかし、手前に見える白いモデルルームはそのマンションの為のものではなく、そのマンションの更に向こう側に建築中のマンションのモデルルームだ。

そしてその左側では、ついに「スーパーマーケット」建設が始まった。

繰り返しになるが、ほんの3年前まで、秋山駅前はなーんにも無い世界だった。
ススキとセイタカアワダチソウが広大な駅前の敷地で陣取り合戦を行なっていた。
田舎の無人駅のような駅前だった。
それが、ここ数年・・・。

話しは変わるが、工場から駅とは反対に車で10数分走ると、「常盤平」という町がある。
ここは多摩ニュータウンに続く、戦後の高度経済成長期に建てられた、当時の人の憧れの「団地」だ。
当時抽選の倍率は40倍近くだったそうだ。
経済と言う原理に乗って未来を夢見た多くの人たちが、当時最先端だった「団地生活」に憧れ、殺到したそうだ。

それから40年。
先日のNHK特集で、「常盤平団地における老人の孤独死とそれを助ける団地住民」の特集が放映されていた。
誰にも気付かれず、死んだ数日後に発見される老人。
発見できた理由は、いつもとは違う「新聞受」に積みあがった新聞の量。
異変に気がつくのは、家族ではなく、勿論団地の住民だ。

工場の南側では、まだ完成しないマンションの隣で次のマンション建築が始まる。
工場の北側では、空部屋が連なる戦後の象徴建築で、毎年人知れず老人が死んでいく。

私たちはどこに向かおうとしているのか。
そして私たちには何が出来るのだろうか。

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