- ひとりごと
淡い思い出
工業団地の視察で訪れたベトナムに、魅了されたのは、18年前のこと。
忘れられず、1年後一人ベトナムに、10日ばかりの旅に出ました。
持ち物は、ホーチミンまでの往復航空券と、数枚の下着のみ。
バイクにも抜かれるほどゆっくり走る夜行列車で風に当たりながら、同室のベトナム人と朝まで飲み明かしたり、
扉が壊れて無くなっているバスでメコン川を渡ったり、
バナナの葉で作られたビリアード場で勝負したり、
酔っ払って運転手を客席に乗せてシクロをこがせてもらったり・・・。
若かりし頃の、大きな思い出の一つです。
中でも、特別の思い出は、ホーチミン市の路上のどこにでもあるコーヒーを出す屋台。
道端でプラスティックの椅子に座り、混沌とした街をただ眺める。
この国のエネルギーを、それだけでも感じることができました。
そこで飲むのは、もちろん熱いベトナムコーヒー。
グラスの底にたっぷり溜まったコンデンスミルクを、アルミのスプーンで掻き混ぜて飲む独特の風味は、ベトナムでの旅の思い出と一緒に、今でも五感に留まっています。
話は変わって、17年後の東京
先週、ある喫茶店で『ベトナムコーヒー』のメニューを発見。
迷わずオーダー。
『よくかき混ぜてください』ウエイトレスの一言に、気分が高まった。
かき混ぜ、口に含んだ時の独特の風味は、期待通り17年前の五感を甦らせてくれました。
毎日の単調な生活も、このひと時で、遠い南の国に行くことができました。