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富士山、戒め

ステンレスや難削材の加工に比重を置いて、かれこれ20年になる。

まだその比重が浅かった時代に、「安価」という理由で購入したNC旋盤やマシニングセンタは、機械の剛性がとても弱かった。

頑丈な機械と同じ条件で加工すると、表面のビビりや寸法精度はヒドかった。

それと同じ精度で仕上げるためには、倍の時間がかかったものだった。

従って、制御装置を主力とするこの「黄色い会社」の穴あけ機は、私たちにとって、当時全く使い物にならなかった。

 

あれから20年。

「剛性は向上した」と言われても…

半信半疑、山梨県の黄色い村落に来てみた。

 

テストカットから聞こえてくる音からは、まったく不安を感じさせない。

寸法精度も、仕上がり状態も、良好!

更に、インデックスの時間が短い分、トータルの加工時間は早い。

そして何より価格が素晴らしい!!

 

我々の業界では、世界一といって良いほど有名な会社の、有名な機械。

JIMTOF初め、展示会や同業者の工場で、これまで何十回も見ている機械。

それでも「過去の印象」というバイアスがかかっていて、その機械の進化や変化に気づけなかった。

 

歳を重ねると、こういうところが怖い。

「頭が固くなった」自分を、認めざるをえなかった瞬間だった。

 

帰り道。

夕日に近づいた富士山は本当に美しかった。

これからは富士山を見たら、頭が固くなった自分を、戒めるようにしたい。

 

新しい世界は、手の届くところにあるんだろうなぁ。

それに気付けるか、自分次第。

 

 

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