朝、駅を降りて、改札を出たら、晴れてて、雨降ってて、風が強かった。
まだ夏の日差しを感じる中、強い風が、大粒の雨の軌跡を振り回す。
熱帯性気候の地域にでもいるような、ちょっと幻想的な、いつもの通勤路。
大通りに出ると、正面に虹。
確実に5色は見える、その立派なアーチは、家の屋根から伸び、電線を飛び越え、大通りをまたぎ、向こうのマンションに沈んでいる。
ドラえもんとのび太に、すれ違いそうな情景だった。
美しいグラデーションを右手に見惚れながら、会社までいつもの道を、いつものように歩いた。
途中だんだん薄まってきて、会社に着く20分後には、消えてなくなっていた。