- 社会のこと
文化創造
機械加工では、文化的な差異は出しにくい。
そう思っていました。
急速に進むグローバル化時代では、文化的差異が出せなければ、埋没してしまう。
しかし、この機械加工という商売における、文化的差異とはどういうことだろうか。
せいぜい出来たとしても、日本人の緻密さを生かした「品質管理能力」による差異だろうが、実際のところこの「差異」を求める気質こそ、日本人の特徴で、世界のレベルで見れば、所詮「費用対効果」の域を超える事はない。
では、どうすればいいのだろうか。
写真はある時計メーカーのもの。
なんとチタンの5軸加工だそうだ。
加工の技術はすごい。
しかしもっとすごいのは、機械加工の位置づけだ。
アメリカの大手スポーツメーカーが、ハリウッド映画で活躍する第一線のグラフィックデザイナーを雇い、デザイン及びCAD図を描く。
それをスイスの時計メーカーが「同時5軸加工機」で加工する。
そして我々日本人は、綺麗なショーケースに並べられたこのようなブランド品を、自分の小遣いの何か月分もかけて、買いあさる。
この流れ、どこか文化的な香りを感じるのは私だけだろうか。
特に私が注目するのは、スイスの5軸加工。
ヨーロッパでは5軸加工は日本のそれとは桁が違うらしい。
そして、その技術力に、スイスの時計も、フェラーリのエンジンも、支えられている。
ブランド=文化が、これらの技術に支えられているわけだ。
日本では、技術は近くなってきているかもしれない。
でも「文化=ブランド」のところが、まだまだなんだなぁ、と思う。
本当はすばらしい文化を持つ国なのに。
でも、工業に関る我々でも、何かが出来そう。
まずは、コスト競争の臨界点は、文化発信が始まる点だと考えてもいいのかもしれない。